見る・聴く・参加する

 うちわ祭の見る・聴くポイントは、もちろん叩き合い(それも全12ヶ町なら最高)ですが、ただ叩き合いを見て、お囃子を聴くだけでなく、細部に目を向ければ、より、お祭を楽しむことができると思います。内容的には、ちょっとマニアックかもしれませんが、こんな所にも注目してはどうでしょう?また、うちわ祭には、唯一参加することができるチャンスがあります。このコーナーでは、その辺りも合わせて紹介します。

■山車人形
 うちわ祭には、平成29年の伊勢町区新山車制作により、全部で7台の山車があり、それぞれ山車人形が載せられます。町内巡行等では、あまり見ることはできませんが、巡行祭では、人形を上げて巡行が行われるし、全12ヶ町の叩き合い(場所による)でも人形が上げられます。やはり、山車は、人形を上げた姿が最も見応えがあります。
神武天皇(第壱本町区 : 長野屋綱季作)
天手力男之命(第貳本町区 : 仲秀英作)
マウスポインタを写真に合わせると人形が拡大されます。
天手力男之命(第貳本町区 : 長野屋綱季作)
2017年に制作されました。通常時は、こちらの人形が山車載せられると思われます。
日本武尊(筑波区 : 米福作)

熊谷次郎直実(銀座区 : 長野屋綱季作)

大國主命(荒川区 : 長野屋綱季作)
※:マウスポインタを写真に合わせると人形が拡大されます。

素盞鳴尊(仲町区 : 長野屋綱季作)
※:マウスポインタを写真に合わせると、2016年まで使用されていた米福作の人形が表示されます。

弁財天(伊勢町区 : 長野屋綱季作)

■見返り幕
 うちわ祭の山車・屋台には、豪華な見返り幕がついています。休憩時間中などは、じっくり眺めることができますので、是非、ご鑑賞下さい。ここでは、第壱本町区と仲町区、平成24年に山車が新造された荒川区、平成29年に新調された筑波区の見返り幕を紹介します。
※:他の町区も『参加町区紹介』に見返り幕の写真を載せておりますので、そちらをご参照下さい。
 第壱本町区の龍虎相剋図。龍虎の構図が何とも言えない。一番後の鉦の横は汚れ防止のためか、別の幕で覆っている。ちょっと残念。  仲町区の天女奏楽図。夜には、下からライトが照らされ、何とも幻想的である。
※:マウスポインタを写真に合わせると夜に撮影した写真が
  表示されます。
 荒川区の双龍。紺地に二匹の龍が浮きでるがごとく、立体的に造られている。紺地なので、夜には、さらに龍が浮きでてくると思われる。

 年番(2017年)を機に、新調された筑波区の青龍。京都の老舗メーカー龍村美術織物で制作。なお、上鉾の四方幕も新調された。
■彫刻
 彫刻は、山車・屋台共に多数施されていますが、やはり、総屋根の屋台は、前後に鬼板・懸魚がつくため、彫刻の数も多くなります。ここでは、山車・屋台に施されている、数々の彫刻を紹介します。
※:鬼板・懸魚は、「参加町区紹介」コーナーで拡大写真を見ることができます。
 平成24年(2012年)に新造された荒川区。鬼板は、龍。懸魚は、朱雀。勾欄には、青龍(右)・白虎(左)・玄武(後)が施されているので、おそらく懸魚と合わせて四神を現しているのだろう。脇障子は、大國主命の物語らしく、大國主命と兎が確認できる。
 ここでは、鬼板に注目。本石区の大きな鬼板は、素盞鳴尊の八岐大蛇退治。懸魚の龍も実は、八岐大蛇の一部なのかもしれない。一方、第壱本町区は、馬師皇仙人と龍。こちらは、退治しているわけでなく、龍に薬を与え治療している構図らしい。同じような彫刻に見えながら、テーマは、完全に逆方向だ。
 巡行祭で他の町区を待ち構える本石区と石原区。両方とも彫刻がすごい。巡行祭時に早めに石原入りすれば、じっくり彫刻を眺めることができる。鬼板・懸魚以外にも要注目。  石原区の後ろ姿。通常は、見返り幕に隠された部分も実は彫刻で一杯。写真は、2005年の巡行祭のもの。毎年ではないが、見返り幕を外して巡行することもある。
 石原区の脇障子あたりから内部の様子、なんとも彫刻だらけだ。21日の夕刻には、石原地区の17号国道上に飾り置きされているので、じっくり眺めるチャンスだ。

 本石区の舞台下は、唐獅子牡丹が一周に彫刻されている。この写真は、後から見たところ。


■女性による先導・整列
 祭中の場面場面では、弓張り提燈を持った町内の女性陣による、山車・屋台の先導、整列してポーズを決める等のことが行われます。そろいの祭半纏をビシッと着込んだ女性陣によるこれらの行動は、何とも粋で祭に花を添えます。
 揃いのポーズを決めて屋台(先代)を先導する荒川区の女性陣。弓張りには、本人の名前が入れられている。  斜に構えて整列する伊勢町区の女性陣。弓張りには、”勢”の一文字。
 一列に並んで、山車を先導する第貳本町区の女性陣。弓張りには、”戸隠”の文字。  屋台を先導する石原区の女性陣。弓張りには、荒川区同様に本人の名前が入れられている。
 山車を先導する筑波区の女性陣。弓張りには、”紅睦”の文字。筑波区修復のお披露目での一幕。

 山車の前で整列し、ポーズを決める仲町区の女性陣。弓張りには、”仲睦”の文字。

■撥さばき
 うちわ祭では、全町区共通して3個の締太鼓が使われます。この締太鼓の撥さばきは、各町区独特のものがあります。特に、第壱本町区と荒川区は、好対照と言えます。
 直線的に撥を振り上げる第壱本町区。この撥さばきから、ハイテンポのお囃子が生まれる。おさめ囃子の時の撥さばきも独特。
 撥を大きく振り上げて、頭の後から回すように振り降ろす荒川区。このため、お囃子はゆっくりめで重厚。叩き合いの時などは、さらに大きくなるようだ。
※:上記の写真は、2012年6月17日の荒川区新山車のお披露目巡行で撮影したものです。
 こちらも大きく撥を振り上げる伊勢町区の女性陣。


 こちらは石原区。どこの町区も祭が佳境に入ると、撥さばきが大きくなるようだ。
 ちょっと、わかりづらいかもしれないが、筑波区では、右手の撥をくるっと回すパフォーマンスが行われる。同じようなパフォーマンスは、仲町区でも行われる(管理人の知る限り)。 なお、深谷の上野台でも同様のパフォーマンスが行われていた。
※:上記の写真(アニメ)は、2009年4月4日のイベントで行われた居囃子を撮影したものです。

 本石区の撥さばきは、オーソドックスか? なお、どこの町区でもよく見られる(多分?)撥を並行に突き出すような撥さばきも見ることができた。
※:上記の写真(アニメ)は、2009年5月31日の熊谷祇園会創立50周年記念祭で撮影したものです。
■お囃子の聴きくらべ
 何となく同じに聴こえる熊谷囃子ですが、実際には、町区ごとに特徴があります。「撥さばき」で紹介したように、第壱本町区と荒川区は、まったくの対極にあり、他の町区も色々です。21日巡行祭時の行宮参りと21日夜の八木橋前から鎌倉町広場に全町区が移動する時には、各町区のお囃子をじっくり聴けるチャンスです。是非お囃子の聴きくらべにチャレンジして見て下さい。
 同一のリズムを延々と繰り返すお囃子が特徴的な筑波区。行宮参りの鎌倉囃子は是非聴いてみたいところ。
 音の間合いが一つ抜けるお囃子の彌生町区。(※:2008年、間合いが一つ抜けるのがなんとなくわかるようになりました。)
 第貳本町区は、やはり鉦の音に注目。ぶっつけ囃子も是非聴いてみたいところ。

 笛を強調する銀座区(鳳鸞お囃子会)。この写真で確認できるだけでも4本の笛を使っている。

■山車・屋台を曳く
 叩き合いから叩き合いの移動、踏み切り越え等の危険を伴うような場面は別ですが、通常の速度で運行される巡行中などでは、誰でも、引き綱を持ち、山車・屋台を曳くことができます。20日・22日の日中は、町内巡行が主なので子供連れの方はお子さんに引き綱を持たせて見ては?なお、鎌倉区・彌生町区・仲町区あたりは隣接する町区が多く、叩き合いとなる場面も多いかと思いますので、お勧めです。また、思わぬ特典があるかも??
 巡行祭で17号国道を巡行する銀座区。お囃子会以外の子供も多数引き綱を持っている。  彌生町区が17号国道を横断するところ。浴衣の子が引き綱を持っている。
 荒川区の巡行の様子。親子連れ等、複数の子供が曳いている。数年後には、お囃子会に入る地元の子供かもしれないが・・・。  巡行祭で本石区・石原区の前をUターンする第壱本町区。小さな子たちも自前の祭姿。

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